ステンレスの加工

ステンレスを加工するには

1.切断

ステンレス鋼は炭素鋼に比較して、粘り強い金属であり、シャーリング切断においては、専用の設備を検討する必要があります。
また、炭素鋼の切断方法で主流のガス切断ではステンレス鋼を切断することができないため、プラズマ切断が一般的です。近年では、レーザー切断機の能力が向上してきたことにより、レーザー切断が広く使用されるようになってきています。
レーザー切断においてはファイバーレーザーの導入が進んできていますが、ステンレス鋼の中厚板では、炭酸ガスレーザーが依然主流です。





当社の切断機の紹介



2. ステンレスの曲げ

ステンレス鋼(オーステナイト系)はスプリングバック※1が大きいので、曲げ加工する場合は、予めスプリングバック代を見込む必要があります。
また、ステンレス鋼は引張強さが高くかつ伸びが大きいため、加工に要する加圧力は炭素鋼の設備に対し約1.5倍程度の能力が必要となります。
また、曲率半径の小さい曲げは、引張側に肌荒れを起こし、大きい残留応力による応力腐食の原因となることもあり、また、マルテンサイトに組成変形するため加工硬化が生じ、磁性も発生します。
※1:スプリングバックとは:材料に曲げ荷重を加えたのち工具を離すと、材料に施した変形が若干もとに戻る現象です。縦弾性係数(ヤング率)によって類推可能です。



曲げ加工を大別すると、プレス曲げとロール曲げに分けられます。
プレス曲げの機械を動力で分けると、機械式と油圧式に分けられ、形状で分けると門型式とプレスブレーキに区分できます。
但し、プレス加工と表現した場合、絞りや打ち抜き、穴あけ、切断(シャー)、切欠き等の機器も含まれ、数多くの機種が存在します。



当社の加工機の紹介

3. ステンレスの機械加工

ステンレス鋼は一般に難削材とされ、炭素鋼に比べて工具寿命が短く、仕上がり精度も得にくいです。
また切削によって加工硬化を起こし、時には歪を生じて問題となる。ステンレス鋼の切削に関しては、以下の点に留意する必要があります。

① 引張強さが強いため切削抵抗が大きく工具の受ける圧力は大きいです。
従って切削による発熱が高くなり、切り刃の寿命に悪い影響を与えます。

② 熱伝導率が低いため、切削中のせん断ひずみと切屑と工具間の摩擦によって発生する高い熱は、その約70~80%が切屑によって持ち去られます。しかし被削材の熱伝導度が低いと切削によって持ち去られる熱量が少ないため、切削点温度が上昇して工具寿命を短くします。

③ 工具への融着が起こりやすいです。
切り屑が切り刃に圧縮・融着する為、工具の刃先に構成刃先を形成し、仕上げ面の粗さや精度を悪くします。さらにこの構成刃先は、切削中に工具の一部を形成しながら、周期的に生成・脱落を繰り返します。脱落の際、工具刃先の一部を持ち去り刃先を鈍化させます。




当社の機械加工機の紹介