ステンレスの加工

ステンレスの加工に関する Q&A

Q1
ステンレスの溶接をする際に気を付けることとは何でしょうか?

▶ Answer

溶接しようとするステンレスの鋼種により、注意すべき点が異なりますので、当社のサイト内の”ステンレス鋼の溶接にあたって注意すべき点”に簡単にそれを記していますので、まずは確認してみてください。
通常のサイトでは書かれていない注意点として、”溶接部の外観(見栄え)”があります。
ステンレスは塗装されることが無く、人の目に触れるところに設置されることが多々あります。
そのため、なにはさておき外観を問題とされることが多いです。
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Q2
SUS310Sの溶接で割れを防止するにはどうしたらよいでしょうか?

▶ Answer

溶接の種類によって、その対処方法が異なりますが、完全オーステナイトであるSUS310S高温割れ感受性が高く、その割れは高温割れによるものがほとんどです。
高温割れの防止については、ⅰ)P,Sのより一層の低減、ⅱ)拘束力の低減、ⅲ)溶接入熱の低減が有効です。特に、クレータの処理や、溶接面の清掃は十分に行うべきでしょう。
また、共金を使わず、高温割れ感受性の低い溶接棒を選択する方法も有ります。
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Q3
ステンレスの溶接では、歪取り焼鈍が必要なのでしょうか?

▶ Answer

歪取り焼鈍は、製作物の用途や、加工方法によって要否を判断しますが、熱処理方法により、その他の問題の発生も懸念されますので、十分な検討が必要です。
歪取り焼鈍は、応力除去焼鈍、応力除去処理 等とも言われ、固溶化熱処理とは区別されます。
歪取り焼鈍を行う目的としては、主にオーステナイト系ステンレス鋼における応力腐食割れの防止、溶接後、機械加工する際に変形を防止するためなどが上げられます。ならば、それ以外であれば焼鈍しない方が良いかもしれません。
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Q4
ステンレス溶接H形鋼(BH)の製品サイズを教えてください

▶ Answer

当社サイトの、「製品紹介 溶接形鋼」をご覧ください。
サイトに載せている標準サイズは当社にて在庫しております。設計に応じ自由なサイズのH形鋼、C形鋼、L形鋼も製作できますので、コストダウンを図るためにも、お気軽にお声掛け下さい。
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Q5
アルミのH形鋼はありますか?

▶ Answer

当社は、ステンレス以外の形鋼も溶接により製作しております。
溶接の難しいアルミについても、A5083の材料を常時在庫しておりますので、ご要望サイズのものが短納期で製作可能です。
また、水門などに使用される場合は、最終組み立て前の加工:水抜き穴加工、開先加工切欠き加工を当社で形鋼製作時に同時に行えば、よりコストを抑えることができます。
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Q6
WPS、PQRとは何ですか?

▶ Answer

用語の意味としては、次のとおりで、WPQTも追記します。
PQR=Procedure Qualification Record=溶接施工試験記録
WPS=Welding Procedure Specification=溶接施工要領書
WPQT=Welding Procedure Qualification Test=溶接施工法確認試験
要領書の意味はご承知の事と思いますが、その溶接作業版がWPSとなります
WPSに示した施工方法が確実かどうか、確認することがWPQTで、その結果を纏めたものがPQRとなります。但しPQRは各種品質確認試験をパスした事実を示し、採用した溶接方法が溶接品質を満たすことを保証するものですので、ただの記録ではありません。
余談ではありますが、社内(個人)で運用されるのであれば、不合格になった記録や要領の保存は大事と思います。
方法等については、JIS規格やASME規格、その他有りますので、お客さんからの要求であれば、何に準ずるものか確認が必要となります。
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Q7
社名のALLOYとはどういう意味ですか?

▶ Answer

言葉の意味を辞典で調べると(昔は辞典によっては載ってなかったです)
名詞:合金 動詞:(二つの金属)混ぜて合金にする 語源:貨幣の鋳造で成分の純度を保つことを意味するとなっています。
当社は、鉄鋼メーカーに合金鉄(フェロアロイ)を納めることを生業として創業した会社で、現在は、ステンレス及び非鉄金属の素材販売、加工販売も行っています。
余談ですが、大昔に一世を風靡した某アニメの夢の合金、超合金Z。超合金(スーパーアロイ)というカテゴリーの合金も今や開発が進み実在するのです。なので当社もスーパーなアロイへ・・・・
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Q8
ステンレスは遅れ割れの心配は無いのですか

▶ Answer

オーステナイト系のステンレス鋼については遅れ割れ(低温割れ)の感受性が低いのであまり心配する必要は有りません。但し、以外の鋼種については事前に確認が必要となります。
遅れ割れは、拡散性水素に起因するものですが、ただの水素と言わず、わざわざ拡散性水素と名前がついているということは、非拡散性水素もあるわけです。
燃料電池の登場で、にわかに水素のポジションが向上しています。しかし、鉄にとっては、水素はぜい化の発生要因の一つでもあり、適切な鋼材の使用が不可欠です。
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Q9
プレインスペクションミーティング(PIM)では何を行うのでしょうか?

▶ Answer

用語の意味としては、次のとおりです。
PIM=Pre Inspection Meeting=検査前打合せ
製品の検査を行う前に行う会議という意味で、そのまま訳すと、大したものでは無いように感じますが、大事なところは発注側と製作側で共通の物差しを確認し合う機会であるということです。
まずは図面や仕様の確認が有って、製品の品質を保障するための必要な検査項目、その検査方法、判定基準等の確認、適用規格や法規の確認、自主検査、立会検査、第3者機関の検査等の検査体制、そしてスケジュールの確認。
事前に決めておくべきことを、両者で確認し合う重要な会議です。開催時期は都度違うでしょうが、図面が確定する前に開催できれば、製作側の様々な意見が反映して頂けるかもしれません。
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Q10
ステンレスは磁石がつかないと聞いたのですが、磁石がつきました。
なぜでしょう?

▶ Answer

磁性が有ったら全くダメだというのであれば、完全オーステナイトSUS310S等を使用するしかありません。汎用ステンレスであるSUS304は、素材の状態であれば磁性は極めて低いのですが、例えば曲げ加工などを行うと加工硬化(マルテンサイト組織が誘起)が起こり、磁性を帯びます。
また、SUS304などでは、溶接部も磁性を帯びます。これは、オーステナイト系ステンレスの溶接部の高温割れを防止するため、フェライトが数%発生するよう溶接材料の設計がなされているためです。
同じステンレスでも、マルテンサイト系、フェライト系などはもともと磁石がつきますから
ステンレス=非磁性ではありません。
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Q11
この頃、二相鋼という名前をよく聞きますが、どのような物なのでしょうか?

▶ Answer

二相ステンレス鋼自体は全く新しいステンレス鋼という訳ではなく、欧州では多くの実績もあります。
国内で脚光を浴び始めたのはNi価格が乱高下するようになってからです。なぜなら、広く普及しているオーステナイト系ステンレス鋼に比べ、Niの含有量が少ないからです。それでいて、使用環境によってはオーステナイト系より高い性能を示すため、当初は価格変動の少ない鋼種として着目されました。
今では、高強度、高耐食性といった、二相鋼本来の長所を活かした用途が広がっています。
ところで、二相というのは、オーステナイト組織とフェライト組織が混ざった金属組織であることから、こう呼ばれているのですが(英語表記ではDuplex=直訳:二重の、二連の)、この二つの組織が良いところ悪いところを、相互で補っている鋼種です。なので、組織の割合が一つのポイントとなっており、特に溶接などにより、組織の割合が変化すると、性能が著しく低下する恐れもありますので、十分に理解して使用する必要が有ります。
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Q12
ステンレスの構造物というものが有るのですか?

▶ Answer

当社の製品紹介をご覧いただくとお分かりいただけますが、ステンレス鋼も様々な場所で、構造物として使用されています。また、当社は構造物の製作も行っていますが、ステンレス構造物を構成する構造材(H形鋼、C形鋼、L形鋼、鋼板、鋼管、ボルト等々)の素材の提供も行っています。
昨今、ライフサイクルコスト(LCC)が取り上げられることが増えました。それは、社会インフラの老朽化により、維持管理費が膨大になってきたことによります。その点、ステンレス鋼を採用することによりLCCの低減が期待できますので、これから更に採用される幅が広がってくるものと思います。
”注”:本文中のLCCはライフサイクルコストです。格安航空会社(Low Cost Carrier)ではありません。
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